相手に求めること。

相手に求めること。

特に、彼が作る映画の大ファンという訳ではないし、書いている本を片っ端から読んでいるという訳でもないのですが、なんだかんだと本も持っていたり、週刊誌に掲載されているエッセイを読む中で、「彼はすごく才能があるし、何よりいつも言うことが至極真っ当だな」と感じるのが、北野武(ビートたけし)です。そんな彼の言葉にこんなものがあります。

「夢を持て、目的を持て、やれば出来る。こんな言葉に騙されるな。何も無くていいんだ。人は生まれて、生きて、死ぬ。これだけでたいしたもんだ。他人への気遣いで大切なのは、話を聞いてやることだ。人間は歳を取ると、どういうわけかこれが苦手になるらしい。むしろ、自分の自慢話ばかりしたがるようになる。だけど、自慢話は一文の得にもならないしその場の雰囲気を悪くする。それより、相手の話を聞く方がずっといい・・・・後略」

まさに当を得た言葉だと思います。

「生きて死ぬ」だけで大したもんだと本当にそう思います。自分は何かを成し遂げられていないという強迫観念のある方もおられるかもしれませんが、全く必要ないと思います。

今日を今を、しっかりと生きていくことこそが大切だと思います。

あと、ときおり女性の方から、相手の話を聞くということができない男性が多いという声を聞きます。

「自分ばかり話をして話す隙を与えてくれない」という方や「昔の話(交際経験など)を根掘り葉掘り聞いてくる」という方が多いと・・・。

逆に男性の、女性への不満で多いのは、「最初に(交際に関しての)条件を提示してくる」ということでしょうか。どちらも男女の特性を良く現している不満だと思います。

今回、イベント情報でも告知しておりますが、上記のような異性への意見を伺う場(座談会)を設けたいと考えています。

そして、伺った内容を元に映像を作っていくことを企画しています。座談会、もしお時間あるようでしたらぜひご参加ください!

 

(以下全文)
 


夢をもて、目的をもて、やれば出来る
こんな言葉に騙されるな
何も無くていいんだ。
人は生まれて、生きて、死ぬ
これだけでたいしたもんだ。
他人への気遣いで大切なのは
話を聞いてやることだ。
人間は歳を取ると
どういうわけかこれが苦手になるらしい。
むしろ、自分の自慢話ばかり
したがるようになる。
だけど、自慢話は一文の得にもならないし
その場の雰囲気を悪くする。
それよりも
相手の話を聞く方がずっといい。
あいつ、裏切った、裏切ったって
心の中に毒持って生きてくより
相手にいいことしてやったって
いう感覚でいるほうがいいんだ。
だって、裏切りなんて
これからもじゃんじゃんあるんだから。
それをいちいち自分の問題にして
抱え込んでたら大変なことになっちゃうし。
金のことでつべこべ言うと
母親にこっぴどく叱られたものだ。
誰だって、金は欲しいに決まっている。
だけど、そんなものに振り回されたら
人間はどこまでも下品になるというのが
俺の母親の考えだった。
貧乏人のやせ我慢と言ったらそれまでだが
そういうプライドが、俺は嫌いじゃない。
 
人間のやることは不思議で
不条理なのだ。
俺だって、アフリカで何万人もの人が
飢え死にしているっていうのに
映画なんか撮っている。
努力すれば、きっとなんとかなるって
そんなわけないだろう。
一所懸命やればなんとかなるほど
世の中甘くないってことは
親とか周囲の大人が
一番知ってんじゃねえか。
必死にやってもうまくいくとは限らなくて
どうにもならないこともある
それが普通で当たり前だってことの方を
教えるのが教育だろう。
 
変な言い方だけど自分のために
死んでくれる人間が何人いるよりも
そいつのためなら命をかけられる
って友達が1人でもいる方が
人間としては幸せだと思う。
 
芸人をやって、映画監督をして。
ビートたけしをして
北野武でもいるといういまの人生は
本当に疲れる。
弱音を吐くわけじゃないけれど
なにもこんなことをしなくても
人生の快感を得ることは
できたんじゃないかと思う。
コツコツと真面目に働いて
家族を守り、子供を育てる。
それだけでも、十分に人生を
生きたという満足感は得られる。
有名になろうが、いい映画をつくろうが
その満足感には
大差がないだろうということは
この歳になってみればよくわかる。
とはいえ、もう一回
人生をやり直せたとしても
苦しくても何でも、熱い人生を選ぶ。
 
自分の子供が何の武器も持っていないことを
教えておくのは、ちっとも残酷じゃない。
それじゃ辛いというなら
なんとか世の中を渡っていけるだけの武器を
子供が見つける手助けをしてやることだ。
それが見つからないのなら
せめて子供が世の中に出たときに
現実に打ちのめされて傷ついても
生き抜いていけるだけの
タフな心に育ててやるしかない。
 
世間一般ではアニメオタクとか
フィギュアオタクとか
秋葉原をうろついてるやつらを
何か差別的に指してるみたいで困るんだけど
ひとつのことにこだわって
情熱を傾ける人たちをオタクと呼ぶとしたら
オタクになれるのは実にすごいことだと思うよ。
 
成功の秘訣は
いちばんなりたいものじゃなくて
その人にとっては二番目か三番目の
違う仕事に就くこと。
自分にはもっとやりたいことがあるんだけど
今すぐにそれをできる能力は
ないから違うことをやってます。
それぐらい自分を客観的に
見られるやつのほうが
成功する可能性は高い。
 
全思考/北野武(幻冬舎文庫)