死を目前にして、最後の願いを叶えてくれる
「ラストドライブ」。
先日、2017年に放映されたNHKのある番組の再放送を見ました。
死を直前にして人生最後の旅に出る人と、その旅を支えるスタッフを取り上げたドキュメンタリーで、番組名は「ラストドライブ」。舞台はドイツです。
ターミナルケアを受ける患者が、最後に行きたいと希望する場所に、医療従事経験のあるスタッフとボランティアが人生最後の旅のプランを作り、「願いのくるま」に乗せて連れて行くという、ヨーロッパで始まったこのボランティアサポートですが今では日本でも行われているようです。
番組の中でラストドライブの乗客となったのはホスピスに入所している二人。
一人目は「亡き主人と行った思い出の海をもう一度訪ねたい」という80代の女性。
19年前に亡くなった夫と行ったオランダの海に行きたいという希望でしたが、夫と行った場所ではなく違う場所に行きたいとのこと。聞けば、大切な夫ではあったが生前は浮気三昧で辛い思いをさせられた。なので違う場所ということでした。
海に到着するとその女性は、今で誰にも言ったことがないという亡き夫への愚痴を言い出しました。それはまるで死の直前、清濁合わさった様々な想いを海で浄化しているかのように見えました。
女性は最後の旅の17日後に亡くなりました。
二人目は、がんとの闘病により恋人との結婚の約束を果たす事が出来なくなった男性。
まだ50歳の若さでした。
男性は恋人との思い出が溢れた湖畔のレストランに行きたいという希望でした。
恋人と食事やビールを楽しみ、美しい湖畔の夕焼けを二人で静かに見つめあうラストドライブでした。
そして男性はその24日後に亡くなります。
この二人の乗客は心に沁みる豊かで静かな笑みを見せていました。
その笑みには自らの願いを叶えた喜びが溢れていたように見えました。
これを見て様々な思いが浮かんできました。
当たり前のことですが、死の時期は選べないということ。
そして、亡くなる時に美しい思い出をたくさん持って死にたいということ。
そして願い事は、死の直前まで放ったらかしにせず、可能であれば元気なうちに叶えておきたいということです。
皆さんはいかがでしょうか。